オンライン配信のライブの録画は違法に当たる?私用目的であれば大丈夫?
オンライン配信やライブは、できれば何度も観たいですよね。録画は違法なのか、自分だけで観るなら問題ないのか、不安になってしまう方も多いかと思います。そこで、今回は違法となるケースや、もし違法なものを録画やダウンロードしてしまったときの刑罰などについてご紹介します。
オンライン配信のライブの録画が違法になるケースとは?
著作権法上違反について
オンラインライブの録画が違法になる場合についてですが、配信映像については、著作権法上、映画の著作物にあてはまるのです(著作権法2条3項、10条1項9号)。そのため、著作権者の許可なく、オンラインライブを録画してしまうことは、複製権を侵害したとして、著作権法上違法となってしまいます。
また、録画をしたオンラインライブの映像を第三者に販売してしまうと、頒布権を侵害したとして、こちらも著作権法上の違法となります。さらに楽曲の演奏や歌唱があるので、音楽の著作物(著作権法10条1項2号)に該当するため、オンラインライブを録画したり頒布したりすることは、すべて違法となるのです。
私的利用の場合はどうなるの?
ライブ配信映像の録画は著作権法上、基本的には違法となりますが、例外として違法にはならない場合があります。それは、自分自身や家族など、限られた範囲の中で利用するために、当該著作物を複製する場合です。
私的使用のための複製といいます(著作権法30条)。例としてあげると、テレビ番組を録画することも日常的に行なっているかと思いますが、自分自身や家族とのみ楽しむための録画なので、私的使用のための複製として適法とされているのです。
オンラインライブは制限があるので注意
これらの私的録画は適法とはいえ、オンラインライブについては、著作権以外にも契約や利用規約による制限も、今後は検討しなければならない時期にきています。一般的には、オンラインライブは画面録画ができないような設定になっていたり、利用規約で映像の録画が禁止されていたりすることが多いです。
そのような場合は、著作権法上は適法であっても、当該配信サイトとの関係上契約違反となるので、権利者から差止請求や損害賠償請求を受けてしまうことがあります。
違法アップロードの動画を閲覧・ダウンロードは?
ストリーミング再生は違法にはならない
違法にアップロードされている動画を視聴してしまう場面としては、ダウンロードによるものと、ストリーミングによるものの2つが考えられます。ダウンロードは、データ自体がディスクなどのメディアに保存されてしまうのに対して、ストリーミングはテレビの視聴と同様、再生後にデータがメディアに残りません。
ストリーミングによる違法アップロード動画を再生してもキャッシュデータの一時的な保存のみなので、たとえ違法アップロード動画を知りながら視聴をしたとしても、著作権法上の複製にはならず、違法とはなりません。
ダウンロードは違法!
違法アップロード動画を違法だと知りながらダウンロードしてしまう行為は、私的利用目的であったとしても違法となります。これまでは、音楽や映像の著作物のみが取り締まり対象でしたが、令和2年6月の著作権法改正により、すべてのコンテンツのダウンロードが禁止となりました。改正法は令和3年1月1日から施工されています。ここのポイントは違法アップロードされたものであると認識しているということです。
もし違法に録画やダウンロードをしてしまった場合の刑罰
オンラインライブを違法に録画した場合
私的利用ではなく、第三者に販売するなどの目的で、オンラインライブを録画してしまった場合は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらが併科されてしまいます(著作権法119条1項)。
オンラインライブを違法にダウンロードした場合
違法にアップロートされたオンラインライブだと知りながらダウンロードをしてしまったり、違法となるダウンロード行為のうち、有料ライブ配信のように有償で正規版が販売されているものを、継続的に反復してダウンロードしたりした場合には刑事罰が科されてしまいます。
2年以下の懲役または、200万円以下の罰金、またはこれらが併科されてしまうのです(著作権法119条3項)。また、刑事罰が科されるのは、有償で公衆に提供され、または提示されている物に限られます。
著作権者からの告訴がなければ起訴されることはありませんが、近年取り締まりが厳正なので、告訴がなくとも捜査、起訴される可能性は充分にあります。
以上、オンラインライブ配信の録画やダウンロードは違法なのか、その刑罰などについてお伝えしました。オンラインが広まり、さまざまな媒体でライブ配信が行なわれています。夜寝る前に動画を観始めると、どんどんネットサーフィンのように見続けてしまう方も多いでしょう。そのようななかで、これは正規なのか違法なのかを判別するのは難しいかもしれませんが、最低限、ダウンロードはしない、第三者に販売をしないなど、法に触れてしまうことは絶対にしないようにしてください。知らなかったでは済まされないので、しっかりとこれらを知識として持っておくことが大切です。